マリ・クレール休刊。 |
日本版は1982年、中央公論社から創刊され、
その後、角川書店を経て、現在はアシェット婦人画報社が出版しているそうです。

もう20年以上前になりますが、
中央公論社から出ていた頃の『マリ・クレール』を毎月楽しみにしていました。
当時の誌面は、「これがファッション誌か?」と思うような、なんとも贅沢な内容。
レベルが高すぎて、とても全部理解するのは無理だったけど、
(っていうより、全部読み切るのも難しかったけど)
わくわくするような知性の広がりを感じさせる内容が、
20代の私にはとても魅力的でした。
手元にある1988年8月号。

こんなモードのページももちろんありながら、

メインは「今月の大特集 / 夏休み保存版 新・読書の快楽」と題して、
吉本隆明さん・中沢新一さんの対談「『現在』を読みとく読書論」も。
(きゃあ~、 中沢さん若い!)
他にも、蓮實重彦さんのインタビュー『ダニエル・シュミットとの90分』、
吉本ばななさんの連載『TUGUMI』(装画は山本容子さん)、
池澤夏樹さん、荒俣宏さんの連載などもあり、
この厚さ(256ページ)にクラクラしました。
もう1冊、1989年7月号。

フランス版と同時掲載の、チャーミングなモードとお料理のページ。

そして、「今月の大特集 スペイン 天才たちの楽園」では、
ダリ、ガウディの記事と共に、
その後単行本になった中沢さんの紀行文『バルセロナ、秘数3』の第1回目が掲載されています。
この数年後、秘数3を求めて、本当にスペインに行くことになろうとは…。
(うそうそ、ただの新婚旅行です 笑)
田村隆一さん、海野弘さん、尾辻克彦さんの連載も。
名編集者、安原顕さんの手腕が冴える内容でした。
1988~91年くらいのマリ・クレール、20冊ほど残っていました。
雑誌って、その時代の風景、香り、手触りがそのまま閉じ込められた、
タイムカプセルみたいなもの。
捨てないでよかった。
残念だったのは、当時武田百合子さんについて全く知らなかったこと。
同時代に生きて、マリ・クレールで連載(『日日雑記』)までしていたのに、
全くスルーしていたのです、もったいない。
いつも気付くのが遅いんだよなぁ…。
『日日雑記』は、次回新着本でご紹介します。
おもしろいぞぉ。