『BとIとRとD』 |

酒井駒子さんの特集本について、以前書きましたが、
こちらは『MOE』に連載されていたものをまとめた、最近出版された1冊です。
(全体を再構成し、全面改稿したそうです)
自分の世界に突然入り込んでくる大人に困惑して泣き出したり、
(それも「ウォー」と泣いて)
指しゃぶりをしていると、「だんだん頭がぼんやりしてきて、どこか、ほの暗い場所で、
静かに座っているような気持ち」になったり、
見えない誰かやお人形に、本を読んであげたり「賢い事」をいろいろ教えたり。
柔らかいほっぺや、ちょっと開き気味の足や、ぽわぽわとした髪の毛、といった
絵の愛らしさもさることながら、
小さいひとの心の中を描写する、酒井さんの目の的確さに感心します。
しんと静かな絵と、独特なリズムのある文章に、
何かある種の「凄味」のようなものさえ感じます。
…こんなにかわいのに、なぜかな?
同時代に生きててよかった、と思える作家の一人です。