凛とした女の子。 |

先日BS2で放送されていた『瀬戸内少年野球団』。
たぶんこれ、公開当時、観に行ったはずなんですがあまりよく覚えていなかった…。
当時、夏目雅子さんのファンでも、HIROMI GOのファンでもなく、
多分佐倉しおりちゃん見たさに行ったんだと思う(美少女好きなので)。
戦後の淡路島を舞台に、島に住む子どもたちと大人たち、
東京からやって来た転校生の女の子と、父親である元海軍提督、
子どもたちに慕われる美しい先生、
傷痍軍人として島に戻った彼女の夫、
などなど、さまざまな人々が交錯して、
当時の日本人の心模様を、ユーモアと切なさを交えて描いています。
登場する2人の女性、駒子先生(夏目雅子)と武女(むめ 佐倉しおり)は、
年齢こそ違えど、どちらも凛とした美しさでこの映画を支えています。
戦地に行ったまま帰らない夫を慕い、複雑な立場ながら子どもたちを笑顔で見守る駒子先生。
戦犯として追われることを覚悟する父を気遣い、
5年生という年齢にもかかわらず大人びた表情の武女。
そんな2人を守ろうとするおバカ男子たちの一生懸命さが愛おしい。
大人も子どもも、正直に生きていた時代。
ずいぶん遠い昔の話のようで、
でもそれほど前の話でもないのです。

この映画の原作者は阿久悠さん。
昭和に生まれた世代にとって、
この人の作詞した歌謡曲をひとつも知らないという人間は、
多分いないんじゃないでしょうか。
特別その歌手のファンでなくても、
覚えようとして聞いていたわけではなくても、
メロディーが流れてくれば一緒に歌えてしまうような、
そんな歌がきっといくつもあると思います。
『日本人らしいひと 凛とした女の子におなりなさい』は、
「暮らしの手帖」に連載されていた阿久さんの詩9編と、
その他に書かれた詩やエッセイが収められています。
どの詩も、平易な、でも背すじが伸びるようなぴしりとした言葉で、
大人について、親について、少年や少女について書かれていて、
読んでいると、なんだか心の底から元気づけられる気がします。
「女の子だからといって
ヨワヨワしていたり
メソメソしていたり
何かというと他人を頼りにして
愛しいと思われてみたり
そんな子である必要はないのですよ
(中略)
いいかい 女の子だって
強くってもいいんだよ
粗雑であったり
乱暴であったり
不行儀が平気は困るけど
ちょっとした挨拶の誠意と
心地よい微笑の会釈と
問われた時にハイと答える
意志さえ感じさせれば
強くっていい
(中略)
傷つけないようにハッキリと言い
侮辱を感じさせない態度をしたら
あとは 自由に生きなさい
強く生きなさい
自由で強くてやさしい子を
凛としていると言います
凛とした女の子になりなさい
凛とした…
近頃いないのです」
(「凛とした女の子におなりなさい」)
阿久さんの心の中にあるそんな女性像が、
駒子先生や武女と重なって、心に残る映画になりました。
阿久さんの本、「weekend bookstore vol.5」でお手にとってご覧ください。