和彦さん。 |
安井かずみ&加藤和彦というふたりには、
いろんな意味で影響を受けた。
『キッチン&ベッド』は何回も読んだし(あぁ、だけど探しても見当たらない!)、
ニューヨークの有名なレストランで、
夫を引き連れて(!)予約無しに席を手に入れたという、
ある意味ものすごく鼻持ちならない話も、
和彦さんの、あの温和な笑顔で帳消しになってしまう。
全然接点のない、スノッブといえばあまりにスノッブなエピソードが、
なんだか微笑ましく思えるのも、
元祖草食系といえばいえる、和彦さんに負うところがとても大きいと思う。
それだけ読むとちょっと鼻に付くかずみさんの歌詞が、
和彦さんのメロディーと歌声にくるまれると、
たちまち物語の立ち昇る独特の世界になった。
歌詞とメロディーが分かち難く、
ふたりでなくてはできないもの。
やはりかずみさんを失ってから、
和彦さん自身も、どこかが欠けてしまったのだろうか。
ソロアルバムが聴きたかった。
もう聴けなくなってしまった。
なぜ?
なぜ?
こんな逝き方はないと思う。
なにもかもが豪華だった、『ベル・エキセントリック』の、
坂本龍一の弾く、エリック・サティの「Je Te Veux」が大好きだった。
『あの頃、マリー・ローランサン』も、聴いていて涙が出てくる。
混乱してうまく考えがまとまらない。
切ない。