なにもかも黒い子猫のせい。 |

『ミルリトン探偵局シリーズ 2 Bolero 世界でいちばん幸せな屋上』
吉田音 著 坂本真典 写真 筑摩書房
今、平穏に生きているこの時が、
実はとても幸せだと気付くのは、
ずっと後になってからのこと。
仲間と何気ない会話を交わした夏の終わりの屋上。
優しい雨の降る春の午後、初めて一人だけで過ごしたカフェ・ボレロ。
一生心に残るレコードを教えてくれた、ルーフトップ・レコードの店主。
ニール・ヤングの流れるラジオ番組をかじりつくように聴いた、土曜日の午前0時。
少しとぼけた両親を持つある女の子を語り手に描かれたSIDE A。
そこに、スパイスを扱う会社「バディ・ホリー商會」を巡るちょっとした騒動や、
イングランドの北にひっそりと住むシンガーソング・ライターを訪ねる男、
フレンチ・ホルンを吹くオーケストラ奏者の見た一瞬の光景、
といった、一見何の関係もなさそうなSIDE Bが緩やかに絡み合い、
少し切なく、そしてほのぼのとした気持ちになる物語。
もちろん「なにもかも黒い子猫のせい」なのですが、
それは読んでのお楽しみ。
著者の吉田音(おん)ちゃんは、クラフトエヴィング商會のおふたりの一人娘、
だそうですが、果たして…?

次回新着本で登場します。
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