ダメに生きる。 |
やはりどうしても気になって借りてきた映画、
『GHOST WORLD』
だってこのジャケットですもの。
感動的なスピーチで卒業式を盛り上げた車椅子のあのコ
(実はクスリでラリって交通事故を起こしていた)とも、
ぺらぺらぺらぺらしゃべるだけで全然空気の読めないウザいこのコともやっとお別れ…。
取り立てておもしろくもない街の高校を卒業し、
進路を決めるでもなく、目標を立てるでもなく、
気弱な同級生の男の子ジョシュをイジメたり、
ダイナーに入り浸って、新聞の出会い欄に投書した中年男をからかったりして、
ただなんとなくだらだらと過ごしている、親友同士のイーニドとレベッカ。
後日、その男がブルースレコードのコレクターと知り、
今まで聴いたことのない音楽に触れたイーニドは、
それをきっかけに彼に興味を持つようになる。
(名前はシーモアっていうんだよ!)
一方カフェで働くようになったレベッカは、着実に自立の道を歩み始め、
イーニドと約束した2人暮らしを実行しようとする。
仲よしだったはずなのに少しずつ溝ができ、
距離を感じてしまう2人。
特にイーニドは、思い通りにならないことだらけの中で悪戦苦闘し、
ますます墓穴を掘っていく…。
何も決まっていない将来への不安、
どいつもこいつもバッカじゃないの!という自意識過剰。
イーニドの、辛辣だけど繊細なキャラクターに対して、
最初の「なんなんだこいつは!?」から、
次第に「そうだよ、がんばれ!」に変わっていく。
ひとつひとつのエピソードの重ね方、
出てくる人たちのリアルすぎるダメさ、
(スティーヴ・ブシェーミが好きだ)
なんといっても無愛想な主人公のダサかわいさ。
ダルくてユルくて切ない。
登場人物に1人も美男美女がいなくて、
みんなどこかズレてて、かっこ悪くて、
最初から「ヘンなの~!」とげらげら笑ってしまったけれど、
でもやっぱりこれは胸が痛くなるお話です。
セレブの子弟にも、プロムの女王にも、
チアリーダーにも、フットボールチームのボーイフレンドにも縁がない、
そんなアメリカの青春映画。
いいんだよ、ダメに生きても。