『ジェインのもうふ』 アーサー・ミラー （２０１０．１０．１７）

ボイスキュー　エフエムみしま　かんなみ（７７．７MHz）で昨年１０月より、
毎週日曜日の１１：３０～、
週末にのんびり読みたい本とおすすめの１曲をご紹介している
「SUNDAY BOOK」のコーナー。
どんなお話をしたのか、「ラジオの時間」のカテゴリーにまとめてみます。
（放送では、パーソナリティー佐藤陽子さんとご一緒させていただいています。）



覚え書きその３。

『ジェインのもうふ』　アーサー・ミラー　作　アル・バーカー　絵　偕成社

今日ご紹介するのは子供のために書かれたお話ですが、
作者は絵本作家でもないし、児童文学の作家でもありません。
アーサー・ミラーは『セールスマンの死』という作品で
ピューリッツァー賞をを受賞している、
アメリカの有名な劇作家です。
その作家が初めて子供のために書いたのがこのお話です。

赤ちゃんのころからピンクの毛布が大好きなジェインは、
ミルクを飲む時も、遊ぶ時も、寝る時も、
いつも毛布があればごきげんです。
お父さんやお母さんに愛されて、
ジェインはすくすくと成長していきますが、
逆に毛布は擦り切れてぼろぼろになり、
今では小さな切れ端が残っているだけです。

ある日、出窓に置いた小さな毛布の切れ端から、
青い鳥が糸を引き抜いているのを見つけたジェインに
お父さんはこんな風に言います。
「小鳥は自分の赤ちゃんのために、
ジェインの毛布を使って柔らかい巣を作ってあげているんだよ」と。
ジェインは、自分が大きくなって、
鳥の赤ちゃんに大好きな毛布を譲ってあげられるようになったことを
とてもうれしく思って眠りにつく、というお話です。

子供って、ジェインのように毛布だったり、
タオルやくたくたになったお人形だったり、
お気に入りのものがありますよね。
このお話の主人公のジェインは、
ピンクの毛布を「もーも」と呼んで、片時も手放しません。

そんなジェインが、成長するにつれて少しずつ「もーも」から離れていき、
自分の大切なものを譲ってあげたり、
相手を思いやったりということができるようになっていく過程を、
とても温かいまなざしで描いている、すてきなお話です。

それから、この本の表紙には、
ピンクの毛布をぎゅっと顔に押し付けて、
片方の目でこちらをじっと見ているジェインが描かれていますが、
子供ってこういう仕草をよくしますよね。
他にも、子供の様子をよく見ているなぁと思えるさし絵がたくさん描かれていて、
そちらもお話と一緒に楽しんでいただきたい１冊です。

おすすめの曲

Lisa Loeb & Elizabeth Mitchell 　Catch The Moon

『ジェインのもうふ』について、
以前こんなことを書きました。
『Catch The Moon』のご紹介はこちらです。