『はだか』 谷川俊太郎 (2010.11.14) |
来週15日(水)は夜営業の日です。
18:00~21:00くらいまで営業します。
ぜひ遊びにいらしてくださいね。
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ボイスキュー エフエムみしま かんなみ(77.7MHz)で昨年10月より、
毎週日曜日の11:30~、
週末にのんびり読みたい本とおすすめの1曲をご紹介している
「SUNDAY BOOK」のコーナー。
どんなお話をしたのか、「ラジオの時間」のカテゴリーにまとめてみます。
(放送では、パーソナリティー佐藤陽子さんとご一緒させていただいています。)
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覚え書きその7。
『はだか』 谷川俊太郎 筑摩書房
今日ご紹介する谷川俊太郎さんの詩集は、
子どもが書いた詩のように、全編ひらがなです。
「おとうさん」「おかあさん」「ぴあの」「てんこうせい」など、
身近な人やものを題材に、18行という決まった長さで書かれた
23篇の詩が収められていて、
それぞれに、当時谷川さんのパートナーだった、
佐野洋子さんの絵が添えられています。
谷川さんの詩にどれも共通するのは、
難しい言葉が全く使われていないということです。
どの詩も、普段私たちが話したり書いたりしている、
ごくごくあたりまえの普通の言葉です。
その普通の言葉を、一体どうやって組み合わせたらこんな風になるの?と
思わせる使い方で、谷川さん独特の世界に作り上げています。
誰でも知っている言葉で、誰も作れない詩を作る、
詩人というのは、本当にすごい存在だと思います。
この詩集は、先ほども言いましたが、
どの詩もまるで子供が書いたようなひらがなが並んでいます。
固い殻のような漢字ではなく、
痛々しいほど純粋な、柔らかいひらがな。
それは多分、大人の中にひっそりと存在している、
子供の魂が書いているようにも思えます。
ここで「さようなら」という詩を読んでみます。
さようなら
ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない
先日、谷川さんの朗読会で、
ご本人がこの詩を朗読なさったのを聞く機会がありました。
大好きな詩だっただけに、なんだか涙が出そうになりました。
言葉を紡ぐ人の持つオーラのようなものを、
強く感じたひとときでした。
詩集というのはあまり読む機会がないかもしれませんが、
音読してみるのも楽しいのではないでしょうか。
佐野洋子さんの絵もすばらしい1冊です。
おすすめの曲
The Welcome Wagon / Up on a mountain