ほむりんの空想書店。 |
来週15日(水)は夜営業の日です。
18:00~21:00くらいまで営業します。
ぜひ遊びにいらしてくださいね。
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「空想書店の扉を開けると、
ゆったりとした空間に小さな音量で音楽が流れている。
珈琲と果物の匂いが漂っている。
大きな木のテーブルと椅子がある。
本以外の紙モノが飾られている。
真夜中なのに数人の客がいる。
店主と客が本についての話をしているとき、
他の客が疎外感を覚えることなく、
むしろ聞き耳を立てて思わず会話に入りたくなるような、
そんな雰囲気が望ましい。
最大のポイントは、どんな本が置かれているかだけど、
ジャンルに関わりなく、
ひとりまたは数名の人間が本当に好きな本だけが選ばれている、
というかたちがいいと思う。
それがどんな趣味であるかは、実はさほど問題ではなくて、
とにかくお店のカラーがみえることが重要だ。
全てを網羅するような大書店は別として、
中小規模の本屋の多くがそのようなセレクトブックショップになれば、
客は本以前にまずお店を選択することができる。
本に詳しくない人のためには偏りなく棚が構成されている方がいい、
という意見には賛成できない。
セレクションに偏りがないと、逆に選び難くなるんじゃないか。
例えば、モノを洋服に置き換えて、
詳しくない自分自身のことを考えるとき、そう思う。
なんでも一通り揃っている店では、
本当に好きなものを発見するのが逆に難しい。
自分と相性のいい書店がみつかれば、
そこから世界が拓かれる。
通っているうちに、少しずつ自分の好みが絞られ、
同時に発展してゆくだろう。
目の前の棚に五冊の本が並んでいるとして、
そのなかの二冊は好きな本、
二冊は未読だけど興味をもっていた本、
残りの一冊は全く未知の本、という感じになるといい。
そのとき、最後の一冊が光って見えると思う。
この並びで置かれているということは、
間違いなく面白い本にちがいない、と確信できるのだ。」
(以下略)
読売新聞 6月12日読書欄「よみうり堂」
6月の「空想書店」店主は穂村弘さん。