2011年 06月 18日
『ダーシェンカ』 カレル・チャペック (2010.11.21) |
ボイスキュー エフエムみしま かんなみ(77.7MHz)で昨年10月より、
毎週日曜日の11:30~、
週末にのんびり読みたい本とおすすめの1曲をご紹介している
「SUNDAY BOOK」のコーナー。
どんなお話をしたのか、「ラジオの時間」のカテゴリーにまとめてみます。
(放送では、パーソナリティー佐藤陽子さんとご一緒させていただいています。)
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

覚え書きその8。
『ダーシェンカ』 カレル・チャペック 新潮社
この本のタイトル「ダーシェンカ」って何のことだろう?と思われるかもしれませんが、
これは子犬の名前なんです。
なんだかかわいいでしょう?
作者のカレル・チャペックはチェコの人で、
ジャーナリストとして活躍しながら、
作家としても、『園芸家12か月』などのエッセイや、スペイン・イギリスの旅行記、
『長い長いお医者さんの話』という子供向けの作品を発表したり、
また「ロボット」という言葉を最初に使ったSFの戯曲も残しているんです。
きょうご紹介する『ダーシェンカ』は、今から80年近く前に描かれた作品です。
作者のチャペックは、イリスという名のフォックステリアを飼っていましたが、
そのイリスの産んだメスの子犬、ダーシェンカを観察しているうちに、
きっといたずら好きのこの子がかわいくてたまらなくなったんでしょう、
ダーシェンカにしてあげる小さなお話としてこの本を書きました。
この本の中の「ダーシェンカのための八つのおとぎ話」という章では、
フォックステリアという種類の犬について、
これからダーシェンカが出会うであろう他の種類の犬について、
犬の習性について、そして人間と犬との関係について、といったことを、
まるで大人がこれから社会に出て行く子供に将来のことを話すように、
ダーシェンカに語りかけるかたちで、
優しくユーモラスに綴っています。
「子犬の写真を撮影するには」という章では、
ちっともじっとしていない子犬を、どうやったら上手く写真に収めるかを、
楽しい口調で説明しています。
「ダーシェンカのアルバム」のページでは、
おすましをしたり、あくびをしたり、
笑っているようにも見えるダーシェンカの写真が
たくさん収められていて、
添えられたコメントも愉快なアルバムです。
チャペック自身が、単純な線でシンプルに描いたイラストがまた愛らしくて、
見ていると思わずにこにこしてしまいます。
全体にチャペックの文章は、
ジャーナリストならでは観察力と、
皮肉や鋭い批評というスパイスを少しだけ加えた文章に、
人間や動物・植物を温かく見守る、
人としての優しさや彼独特のユーモアが加わって、
読んでいると「なるほどなぁ」と思ったり、
「そうそう」と共感したりして、チャペック自身の人間性の豊かさを感じます。
『ダーシェンカ』は、写真やイラストがとても愛らしいので、
パラパラと見ているだけでも楽しいのですが、
味わい深い文章もぜひ読んでいただきたいと思います。
おすすめの曲
Mon Oncle ぼくの伯父さん
ジャック・タチの映画については、
以前こんなことを書きました。
(一部リンクが切れています、ごめんなさい)
weekend booksの本棚には、ジャック・タチ関連の本が並んでいます。
その他、映画関連の本を集めましたので、ぜひご覧ください。
19日(日)の「SUNDAY BOOK」は、
特別番組のためお休みになります。
ご了承ください。
毎週日曜日の11:30~、
週末にのんびり読みたい本とおすすめの1曲をご紹介している
「SUNDAY BOOK」のコーナー。
どんなお話をしたのか、「ラジオの時間」のカテゴリーにまとめてみます。
(放送では、パーソナリティー佐藤陽子さんとご一緒させていただいています。)
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

覚え書きその8。
『ダーシェンカ』 カレル・チャペック 新潮社
この本のタイトル「ダーシェンカ」って何のことだろう?と思われるかもしれませんが、
これは子犬の名前なんです。
なんだかかわいいでしょう?
作者のカレル・チャペックはチェコの人で、
ジャーナリストとして活躍しながら、
作家としても、『園芸家12か月』などのエッセイや、スペイン・イギリスの旅行記、
『長い長いお医者さんの話』という子供向けの作品を発表したり、
また「ロボット」という言葉を最初に使ったSFの戯曲も残しているんです。
きょうご紹介する『ダーシェンカ』は、今から80年近く前に描かれた作品です。
作者のチャペックは、イリスという名のフォックステリアを飼っていましたが、
そのイリスの産んだメスの子犬、ダーシェンカを観察しているうちに、
きっといたずら好きのこの子がかわいくてたまらなくなったんでしょう、
ダーシェンカにしてあげる小さなお話としてこの本を書きました。
この本の中の「ダーシェンカのための八つのおとぎ話」という章では、
フォックステリアという種類の犬について、
これからダーシェンカが出会うであろう他の種類の犬について、
犬の習性について、そして人間と犬との関係について、といったことを、
まるで大人がこれから社会に出て行く子供に将来のことを話すように、
ダーシェンカに語りかけるかたちで、
優しくユーモラスに綴っています。
「子犬の写真を撮影するには」という章では、
ちっともじっとしていない子犬を、どうやったら上手く写真に収めるかを、
楽しい口調で説明しています。
「ダーシェンカのアルバム」のページでは、
おすましをしたり、あくびをしたり、
笑っているようにも見えるダーシェンカの写真が
たくさん収められていて、
添えられたコメントも愉快なアルバムです。
チャペック自身が、単純な線でシンプルに描いたイラストがまた愛らしくて、
見ていると思わずにこにこしてしまいます。
全体にチャペックの文章は、
ジャーナリストならでは観察力と、
皮肉や鋭い批評というスパイスを少しだけ加えた文章に、
人間や動物・植物を温かく見守る、
人としての優しさや彼独特のユーモアが加わって、
読んでいると「なるほどなぁ」と思ったり、
「そうそう」と共感したりして、チャペック自身の人間性の豊かさを感じます。
『ダーシェンカ』は、写真やイラストがとても愛らしいので、
パラパラと見ているだけでも楽しいのですが、
味わい深い文章もぜひ読んでいただきたいと思います。
おすすめの曲
Mon Oncle ぼくの伯父さん
ジャック・タチの映画については、
以前こんなことを書きました。
(一部リンクが切れています、ごめんなさい)
weekend booksの本棚には、ジャック・タチ関連の本が並んでいます。
その他、映画関連の本を集めましたので、ぜひご覧ください。
19日(日)の「SUNDAY BOOK」は、
特別番組のためお休みになります。
ご了承ください。
by weekendbooks
| 2011-06-18 00:05
| ラジオの時間