『アンナの赤いオーバー』 ハリエット・ジィーフェルト 作 (2010.11.28) |
毎週日曜日の11:30~、
週末にのんびり読みたい本とおすすめの1曲をご紹介している
「SUNDAY BOOK」のコーナー。
どんなお話をしたのか、「ラジオの時間」のカテゴリーにまとめてみます。
(放送では、パーソナリティー佐藤陽子さんとご一緒させていただいています。)
今回から4回分は、クリスマス前の放送だったため、
クリスマスにちなんだ本をご紹介します。
ちょっと時期がずれてしまいますが、よろしければお付き合いくださいね。
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覚え書きその9。
『アンナの赤いオーバー』
ハリエット・ジィーフェルト 作 アニタ・ローベル 絵 評論社
「戦争が終わったら、あたらしいオーバーを買ってあげようね」
お母さんはアンナと約束しました。
けれども、戦争が終わっても、
お店はからっぽ、お金もありません。
そんな中、娘のために新しいオーバーを作ってあげたいと、
お母さんは、ある考えを思いつきます。
まず、オーバーの材料となる羊毛を手に入れるところから始めます。
おじいさんから譲られた金時計と引き換えに、お百姓さんから羊毛をもらい、
ランプと引き換えに、糸紡ぎのおばあさんに羊毛を紡いでもらうように頼みます。
それから、お母さんとアンナでコケモモを摘んでその糸を赤く染め、
ネックレスと引き換えに、染めた糸で機織りのおばさんに布地を織ってもらい、
最後に仕立て屋さんに行き、
ティーポットと引き換えに、その布ですてきなコートに仕立ててもらいます。
時間と手間をかけた赤いコートは、アンナにとてもよく似合いました。
その年のクリスマス、アンナとお母さんは、
お世話になった人たちを招いてお祝いをします。
オーバーの材料を分けてくれた羊たちにも、
リンゴをプレゼントするアンナの優しさに、
心が和む絵本です。
何でも早く、安く手に入る今の時代、
オーバーをひとつ作るのに、
こんなにたくさんの時間と手間をかけることにびっくりしてしまいますよね。
でも、本来ものを作るというのはこういうこと。
そうして出来上がったものを、
作り手に感謝しながら大切に使う、という喜びは、
今ではなかなか味わえないかもしれません。
アンナのお母さんは知恵を使って、
娘にそのすばらしさを教えてあげました。
たくさんの愛情がこもった赤いオーバーは、
私たち読む者の心の中をもあたためてくれます。
このお話は、第二次世界大戦の後、
実際に起こったことを基にして書かれたのだそうです。
絵を担当しているアニタ・ローベルは、
アーノルド・ローベル(「ふたりはともだち」「どろんここぶた」などの作者)
の奥さん。
緻密で繊細な絵は、テキスタイル・デザイナーをしていたという経験が
活かされているように思えます。
「赤」が印象的な絵本です。
おすすめの曲
大貫妙子 / Starry Night For You
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本日の放送では、
エルサ・ベスコフの「ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん」を
ご紹介する予定です。
おすすめの1曲は、ジャネット・ケイの「ラヴィン・ユー」。
ボイス・キュー(77.7MHz)で11:30~です。
よろしくお付き合いください。