2012年 01月 17日
「男の肖像」。 |
1月18日(水)は、定休日なので昼間はお休みですが、
夜だけ営業します。(18:00~21:00くらいまで)
19日(木)は、11時開店です。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
『男の肖像』 稲越功一
「小道具などをいっさい使用せず、〈無〉を背景に、
ひたすら、凝らずに、ありのままの心象を写し込むことのみに、心馳せた」
そうして撮られた50人の男たちと、賛辞を寄せた50人の女たち。
昭和の男は大人だったなぁ。
藤竜也 39歳(1981年当時 以下同)
「素敵な若者は多い。でもずーっと素敵でいるのは難しい。
もっと難しいのは素敵な“おとこ”であり続ける事だ。
奇跡に近いその作業を、藤竜也は実現してくれる男性だと
私は楽しいおもいで眺めている。」吉行和子
原田芳雄 40歳
「ただ、今私が感じている芳雄さんというのは、
燈がついたお家みたいな人なんですよね。
子どもの頃、ちょっと遅くなって心細い思いで帰ってきて、
自分の家に燈がついているとホッとするでしょ。
すごくやさしいし、暖かい人だから、
私の中では芳雄さんというのはそういう人なの。」大楠道代
藤田敏八 49歳
「パキさんは、中年にしては珍しくジーンズの似合う人で、
皆に尊敬されています。特に中年以上の人に。
それだけで偉い人と言うのです。
パキさんはそのジーンズの上下でビュンビュン北風の吹くなか、
マフラーを大げさにたるませて、決して胸元で合わせたりしません。
そのマフラーはパキさんの恋人で現在奥さんである人が編んだものと
あとでわかったのですが、それにしても、
スタイリストなのか、案外寒さにはタフなのか、どっちでしょう。」秋吉久美子
五木寛之 48歳
「緊張している私に、五木さんはさっと一枚名刺を差し出されると、
『まだできたてです』
とにっこりされました。少年のような微笑でした。
玲子夫人と金沢から横浜に移られてまもなくの頃でいらしたのです。
五木さんは初対面でちょっとお話ししていても、
奥さまをとても大切にしていらっしゃる方ということがよくわかりました。
お分かれする時、五木さんはどこの誰ともわからない一読者の私にふり返り、
『さようなら』
といわれました。明るい力強い声でした。」 太田治子
坂本龍一 29歳
「『そいでさ、まあね』
こんな口調を想像していると、
坂本さんの電話の声は全然異質であった。
正確な日本語、そのまま文章にしても困らないような話の展開、
そしてぼそぼそと呟くような声色だった。
雑談の上手な人かもしれない。
時間の経つのを忘れた頃、
『谷中(私の住んでいる町)って、吉本隆明さんもいるでしょう?』(どきり)、
『吉本さん達とお汁粉屋に入ったことあるけど、あの人の本読むんですか?』
『ええ、大変影響うけましたよ」
『そんなに知的なものを読む人が、私のものなど読んだことあるの?』
『ええ、学生の頃にね・・・・・・』
ずい分幅の広い人のようだ。」 岸田衿子
吉行淳之介 57歳
「ここでひるんではならじと、一旦は思い込んだけど、
あまりにも必死な猫なで声に、お迎え間近な老人をいじめてもしょうがないと、
せいぜい優しい気持ちをかきたて、
快く原稿依頼のためのデイトを約束して上げたの。
その晩の吉行さんのサービスたるや、卑屈そのもの、それは感動的でした。
その努力に免じて、ベッドの中で、あたしがどんな呼び方をするか、
試させて上げちゃおうかと思うほど、普段と違ってかわいかったの。
『淳之介さん』・・・・・・長いわ・・・・・・
『淳ちゃん』・・・・・・桃色遊戯みたい・・・・・・
『淳』・・・・・・まるで場末ね・・・・・・
『淳の字』・・・・・・とても、とても、とても。」 加賀まりこ
夜だけ営業します。(18:00~21:00くらいまで)
19日(木)は、11時開店です。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
『男の肖像』 稲越功一
「小道具などをいっさい使用せず、〈無〉を背景に、
ひたすら、凝らずに、ありのままの心象を写し込むことのみに、心馳せた」
そうして撮られた50人の男たちと、賛辞を寄せた50人の女たち。
昭和の男は大人だったなぁ。
藤竜也 39歳(1981年当時 以下同)
「素敵な若者は多い。でもずーっと素敵でいるのは難しい。
もっと難しいのは素敵な“おとこ”であり続ける事だ。
奇跡に近いその作業を、藤竜也は実現してくれる男性だと
私は楽しいおもいで眺めている。」吉行和子
原田芳雄 40歳
「ただ、今私が感じている芳雄さんというのは、
燈がついたお家みたいな人なんですよね。
子どもの頃、ちょっと遅くなって心細い思いで帰ってきて、
自分の家に燈がついているとホッとするでしょ。
すごくやさしいし、暖かい人だから、
私の中では芳雄さんというのはそういう人なの。」大楠道代
藤田敏八 49歳
「パキさんは、中年にしては珍しくジーンズの似合う人で、
皆に尊敬されています。特に中年以上の人に。
それだけで偉い人と言うのです。
パキさんはそのジーンズの上下でビュンビュン北風の吹くなか、
マフラーを大げさにたるませて、決して胸元で合わせたりしません。
そのマフラーはパキさんの恋人で現在奥さんである人が編んだものと
あとでわかったのですが、それにしても、
スタイリストなのか、案外寒さにはタフなのか、どっちでしょう。」秋吉久美子
五木寛之 48歳
「緊張している私に、五木さんはさっと一枚名刺を差し出されると、
『まだできたてです』
とにっこりされました。少年のような微笑でした。
玲子夫人と金沢から横浜に移られてまもなくの頃でいらしたのです。
五木さんは初対面でちょっとお話ししていても、
奥さまをとても大切にしていらっしゃる方ということがよくわかりました。
お分かれする時、五木さんはどこの誰ともわからない一読者の私にふり返り、
『さようなら』
といわれました。明るい力強い声でした。」 太田治子
坂本龍一 29歳
「『そいでさ、まあね』
こんな口調を想像していると、
坂本さんの電話の声は全然異質であった。
正確な日本語、そのまま文章にしても困らないような話の展開、
そしてぼそぼそと呟くような声色だった。
雑談の上手な人かもしれない。
時間の経つのを忘れた頃、
『谷中(私の住んでいる町)って、吉本隆明さんもいるでしょう?』(どきり)、
『吉本さん達とお汁粉屋に入ったことあるけど、あの人の本読むんですか?』
『ええ、大変影響うけましたよ」
『そんなに知的なものを読む人が、私のものなど読んだことあるの?』
『ええ、学生の頃にね・・・・・・』
ずい分幅の広い人のようだ。」 岸田衿子
吉行淳之介 57歳
「ここでひるんではならじと、一旦は思い込んだけど、
あまりにも必死な猫なで声に、お迎え間近な老人をいじめてもしょうがないと、
せいぜい優しい気持ちをかきたて、
快く原稿依頼のためのデイトを約束して上げたの。
その晩の吉行さんのサービスたるや、卑屈そのもの、それは感動的でした。
その努力に免じて、ベッドの中で、あたしがどんな呼び方をするか、
試させて上げちゃおうかと思うほど、普段と違ってかわいかったの。
『淳之介さん』・・・・・・長いわ・・・・・・
『淳ちゃん』・・・・・・桃色遊戯みたい・・・・・・
『淳』・・・・・・まるで場末ね・・・・・・
『淳の字』・・・・・・とても、とても、とても。」 加賀まりこ
by weekendbooks
| 2012-01-17 16:37
| 新着本紹介