2012年 09月 30日
「魂の行き来する道筋」。 |
「文化の交換は『我々はたとえ話す言葉が違っても、
基本的には感情や感動を共有しあえる人間同士なのだ』
という認識をもたらすことをひとつの重要な目的にしている。
それはいわば、国境を越えて魂が行き来する道筋なのだ。」
「僕に今ここではっきり言えるのは、
そのような中国側の行動(*中国の書店で日本人著者の書物が引き上げられたこと)
に対して、どうか報復的行動をとらないでいただきたいということだけだ。
もしそんなことをすれば、それは我々の問題となって、
我々自身に跳ね返ってくるだろう。
逆に『我々は他国の文化に対し、
たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない』
という静かな姿勢を示すことができれば、
それは我々にとって大事な達成となるはずだ。
それはまさに安酒の酔いの対極に位置するものとなるだろう。
安酒の酔いはいつか覚める。
しかし魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない。
その道筋を作るために、多くの人々が長い歳月をかけ、
血の滲むような努力を重ねてきたのだ。
そしてそれはこれからも、何があろうと維持し続けなくてはならない
大事な道筋なのだ。」
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2012年9月28日 朝日新聞朝刊3面 「魂の行き来する道筋」 村上春樹
by weekendbooks
| 2012-09-30 01:51
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