今年最後に。 |

3月に家族で行ったイタリアでは、魅力的な小径があちこちにありました。
ここを曲がったらどうなるんだろう、ここを下っていったらどこに着くんだろう、
そんなことを言いながら、足が痛くなるまで家族であちこち歩きました。
知らない街での小さな冒険は、本当に不安でいっぱい。
でもそれだからこそ、そこでしか見られない風景、そこでしか感じとれない街そのものを
味わうことができたのです。

訪れたどの街にも親切な人がいて(いじわるな人もいたけど)、
おいしい食べ物があって、
そして美しい風景が広がっていました。
その街を愛し、人を愛し、子供をいつくしみ、生活を楽しんでいる様子が、うらやましかった。
この世界は、楽しいこと、美しいもの、素敵な人でいっぱいなんだよ、と
子供に教えてあげたい。
でも、現実にはそれとは正反対のことを言わなければなりません。
通学路を守って、寄り道をしてはいけません。
(魅力的な小径?とんでもない!)
知らない人には近づかないように。
(親切な人かもしれないのに)
よそ見なんかしてたらだめ。
(とってもきれいな景色なのに)
命と引き換えになってしまうなんて、あまりにもひどい有様です。

この10年ほどの間で、またいっそう人の気持ちが荒んできてしまったように思えます。
強い言葉、乱暴な態度、大きな声、言ったもの勝ち、やったもの勝ち。
その一方で、穏やかな、和やかな暮らし方を求める人たちも確実に増えているようです。
ずいぶんと格差が出ているさまざまな考え方の中で、私自身の進む方向を、
ぶれずに見つめていきたいと思います。
今年1年、weekend booksのHPに遊びに来てくださったみなさん、
本当にありがとうございました。
来年もまた、どんな本に出会えるか、自分自身わくわくしています。
どうぞよいお年をお迎えください。
そして2006年も、よろしくお願いいたします。