クリスマスの絵本。 |
このところの早い夕暮れを見ていると、この日を境に昼夜の長さが逆転して、
これからはだんだん昼間の方が長くなる、というのがなんだか不思議な気がします。
冬至の日には、かぼちゃスープと柚子湯で暖まりました。
これでこの冬、風邪を引かないといいな。
こんな日本の風習の後でクリスマスを祝うというのも、
この国らしいといえば、らしいですね。

小学校が冬休みに入る前の読み聞かせの時間、クリスマスらしい絵本を、
と考えて思いついたのが、以前weekend booksでもご紹介した『アンナの赤いオーバー』。(ハリエット・ジィーフェルト作、アニタ・ローベル絵、松川真弓訳 評論社)
「戦争が終わったら、新しいオーバーを買ってあげようね」
お母さんはアンナに約束しましたが、戦争が終わってもお店はからっぽ、
それどころか、お金を持っている人もいません。
うちにもお金はないけれど、すてきなものなら色々ある、と考えたお母さん。
おじいさんの時計や、ランプ、ガーネットのネックレス、きれいなティーポット…。
まず、オーバーの材料を手に入れよう、とお百姓を訪ね、
時計と引き換えに羊毛をもらいます。
次に、ランプと引き換えに、糸紡ぎのおばあさんに毛糸にしてもらい、
その毛糸を、自分たちの摘んだコケモモの実で赤く染め、
その糸を織ってもらい、そして仕立て屋さんに、とてもすてきなオーバーにしてもらいます。
この間、なんと1年がかりという気の長いお話ですが、
これだけの時間と人手をかけて作り上げる「ものづくり」が、
本来あるべき姿なのかもしれないなぁと思います。
エルサ・ベスコフの『ペレのあたらしいふく』も、これとちょっと似た、大好きなお話です。

オーバーを作ってくれた人たちを家に招いてみんなで祝う、久々に平和なクリスマスイブ。
そしてクリスマスの当日に、羊毛をくれた羊にお礼を言いに行く、
という小さなアンナの優しさが、読む人たちにも幸せを運んでくれます。
実話を基にして書かれたというこのお話、緻密で美しいさし絵と共に楽しめます。
織物デザイナーだったというアニタ・ローベルは、「がまくんとかえるくん」シリーズの作者、
アーノルド・ローベルの奥さんです。

皆さまもよいクリスマスをお過ごしください。