2007年 05月 27日
『センス・オブ・ワンダー』。 |
今日はレイチェル・カーソンの誕生日、生誕100年なのだそうです。
初めて彼女の著書『センス・オブ・ワンダー』を読んだのは、
8年前、体調を崩して入院している時でした。
夫が古本屋さんで買ってきてくれたその小さな本は、
美しい写真と、美しい言葉で綴られていました。
この本では、亡くなった姪の息子、小さなロジャーを連れて、
雨の中を海に出かけるところから始まり、
森でのたくさんの発見や、灯りを消した部屋で満月の沈んでいく様子をながめること、
自然の中のさまざまな音を聞き分けること、などを通して、
「センス・オブ・ワンダー」(神秘さや不思議さに目を見はる感性)を育む大切さを語りかけています。
「子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知のものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけ出した知識は、しっかりと身につきます。
消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。」(上遠恵子訳)
だからこそ、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない、と。
幼いころの娘に、こんな風に接していたかどうか…遅まきながら、反省しきりです。
weekend booksでご紹介している『レイチェル・カーソン 「沈黙の春」で地球の叫びを伝えた科学者』(偕成社)は子供向けにかかれたものですが、詳しい資料と豊富な写真で、大人が読んでもおもしろい1冊です。
科学者であると同時に文学者であったレイチェル・カーソン。
その文章の美しさ、的確さが、この本を忘れ難いものにしています。
私の持っている佑学社版は絶版ですが、
現在では新潮社から出版されています。
by weekendbooks
| 2007-05-27 19:44
| こころに残るもの(本)