2008年 06月 17日
黒の気配。 |
市内の本屋さんを4軒回って見つからず、
ようやくネットで手元に届いた『pooka+ 酒井駒子 小さな世界』。
読み終わって、しばらくぼぉっとしてしまいました。
ふっくらしたほっぺや、
うすピンクのくちびる。
人形を抱きしめたり、
一心に本に見入ったり。
愛らしい子どもたち、のはずなのになぜ、
こんなに不思議な気持ちになるんだろう。
『金曜日の砂糖ちゃん』より
まとわりつくような黒の気配。
どこか放心したような表情。
静かな、静かな空気に包まれた子どもたち。
『赤い蝋燭と人魚』より
幼い子どもは天真爛漫で、何の悩みもない、
と私たちは思っているけれど、
もしかしてちいさなひとたちは、
自分にもよく分からない哀しみや不安や孤独な気持ちを、
もうすでに心の中にいっぱい抱えているのかもしれない。
『金曜日の砂糖ちゃん』より
眠たければぐずぐず言わずに眠ればいいのに。
子どもはどうして眠る前のひとしきり、
泣いたりぐずったりするんだろうと、
ずっと不思議に思っていました。
あれは、眠りという「死」に似たものに対する抵抗なのだと、
ほんの最近気がつきました。
身を投げ出すようにしてぐっすりと眠る子どもは、
ちょっとやそっとでは起きないほど。
抵抗できない「眠り」の時間にあらがって、
きっと子どもは泣くのでしょう。
酒井さんの、眠る子どもの絵を見て思ったこと。
大判の誌面にたっぷりと紹介された絵と、
「夜」「団地」「箱」「家出」など10のキーワードを中心に、
酒井さんの独特な世界が堪能できます。
by weekendbooks
| 2008-06-17 21:43
| 絵本いろいろ