いちばん遠い場所。 |

自分の家と、通っていた小学校の周囲だけが世界のすべてだった子供時代。
望めばどんなところにだって行ける大人になった今、
もう一度、子供のころを過ごした場所を訪ねてみた。
ずっとどこまでも続いていると思っていた路地は、すぐに終わった。
遊び場だった神社の公園は狭かった。
毎日見ていた汚い川は、水が澄んでいた。
小学校の図書館は、もう無くなっていた。
ただ、グラウンドは変わらず広く大きく見えたのが不思議。

飛行機に十何時間も乗って、
ずいぶん遠くの国にも行ったけれど、
昔の自分のいたところが、いちばん遠い場所になってしまっていた。